【営業チームvsマーケティングはなぜ、起きるのか】
はじめに:なぜ営業とマーケティングは対立するのか?
「マーケティングはリードを取るだけで、売れる見込みのない客ばかり渡してくる…」
「営業がフォローしないから、せっかくのリードが無駄になる…」
あなたの会社でも、こんな不満が営業とマーケティングの間で飛び交っていませんか?
本来、両者は同じ目標に向かって進む“同志”のはず。
「売上を伸ばす」「会社を成長させる」 目指すゴールは同じなのに、なぜこんなにすれ違ってしまうのか?
営業チームとマーケティングチームの間にある“見えない壁”は、組織が大きくなればなるほど厚く、高くなっていくものです。
どちらのチームも真剣に仕事をしているはずなのに、なぜか歩調が合わず、責任をなすりつけ合うような状況に陥ってしまう…。
これは決して珍しい話ではありません。
たとえば、マーケティングチームはSNS広告やSEO、ウェビナーなどを駆使して見込み客を集め、営業チームへ渡します。
しかし、営業は「まだ本気で買う気のない客を押し付けられても困る」と感じ、一方のマーケティングは「せっかく集めたリードを営業が放置している」と不満を募らせる。
このズレが、お互いのフラストレーションを生み、対立に発展するのです。
✅ マーケティングは、数を増やすことにフォーカスする。
✅ 営業は、質の高いリードにフォーカスする。
このギャップこそが、営業とマーケティングの間に深い溝を作り出します。
もし、この問題を解決しなければどうなるでしょう?
・営業は「マーケティングが機能していない」と感じ、リードのフォローを軽視する。
・マーケティングは「営業が活用してくれない」と感じ、リード獲得のモチベーションが低下する。
・結果として、売上は伸びず、会社全体の成長が停滞する。
・組織内の信頼関係が崩れ、チームの士気が低下する。
・経営層は「どこに問題があるのか?」と迷走し、的確な戦略が打ち出せなくなる。
これは単なる“社内の問題”ではありません。企業の成長を左右する、非常に大きな経営課題なのです。
よくある対立のパターン
では、具体的にどのような対立が生まれやすいのでしょうか?代表的なパターンを4つ紹介します。
① リードの質に対する不満
営業の視点:「マーケティングが提供するリードの質が悪く、商談に進まない!」
マーケの視点:「営業がせっかくのリードを活用してくれない!」
マーケティングはリードの“数”を重視し、一方で営業は“質”を求めます。このギャップが対立を生む大きな要因の一つです。
② フォロー不足問題
営業の視点:「マーケティングはリードを取ったら終わりで、フォローの仕組みがない!」
マーケの視点:「営業がリードを放置するから、せっかくのチャンスを逃している!」
リード獲得後のナーチャリング(育成)が不足すると、せっかくの見込み客が離れてしまいます。
③ KPI(評価指標)の違い
営業の視点:「マーケはリード獲得数だけを見ていて、売上につながっていない!」
マーケの視点:「営業は短期的な成果ばかり求めて、長期のブランド戦略を理解してくれない!」
KPIのズレが生じると、営業とマーケティングが同じ方向を向いて仕事をするのが難しくなります。
④ 成約率の低さに対する責任の押し付け合い
営業の視点:「マーケが本当に質の高いリードをくれれば、もっと契約が取れるはず!」
マーケの視点:「営業がもっと適切にアプローチしていれば、リードが無駄にならないのに!」
実際のところ、成約率が低い理由は単純ではありません。
ターゲットのズレ、適切な営業トークの不足、競合の影響など、さまざまな要因が絡み合っています。
しかし、お互いの責任を追及するばかりでは問題は解決しません。
対立の原因と背景
営業とマーケティングが対立する背景には、いくつかの根本的な要因があります。
1. 目標設定の違い
営業は短期的な売上目標に追われ、マーケティングは中長期的なブランド構築やリード獲得に注力します。このズレが、戦略の方向性の違いを生み出します。
2. コミュニケーション不足
営業とマーケティングが日常的に情報共有をしていないと、互いの考えや課題を理解することが難しくなり、誤解や不満が生じます。
3. データの一元化ができていない
マーケティングが集めたリードの情報が営業に適切に共有されていなかったり、営業が顧客とのやり取りをマーケティングにフィードバックしていなかったりすると、効率的なリード活用ができません。
4. KPIと評価基準の違い
マーケティングはリード数、サイト流入数などを重視し、営業は商談数や成約率を評価されるため、互いに「自分の指標に貢献していない」と感じてしまうことがあります。
5. 明確な役割分担の欠如
営業とマーケティングの業務範囲が曖昧だと、どちらが何を担当するのかが不明確になり、責任の押し付け合いが発生します。たとえば、「リードの温度感を判断するのは誰か?」「ナーチャリング(見込み客育成)は営業かマーケティングか?」といった部分がグレーゾーンになっていると、互いに期待と現実がズレ、対立を生み出します。
解決策実行のポイント
解決策を実行する際には、いくつかの重要なポイントがあります。ただKPIを設定したり、ミーティングを増やしたりするだけでは、対立を解消し成果につなげるのは難しいものです。
以下のポイントを押さえて、営業とマーケティングの協力体制を強化しましょう。
1. CSF(重要成功要因)に集中する
営業とマーケティングが協力して成果を出すためには、あれもこれもKPIとして追うのではなく、一つのCSF(Critical Success Factor)に集中することが重要です。
例えば「商談化率」を最優先指標に設定した場合、マーケティングはより精度の高いリードを供給し、営業はリードのフォロー方法を最適化するなど、全員が同じ方向を向いて取り組める環境を作りましょう。
2. 営業とマーケティングの歩み寄りを促進する
営業はマーケティングの戦略や意図を理解し、マーケティングは営業の現場での課題を知ることが重要です。そのために、お互いの業務を「体験」する機会を作ると良いでしょう。
例えば、マーケティング担当者が営業の商談に同席することで、どんなリードが本当に効果的なのかを肌で感じることができます。
3. データドリブンな意思決定を徹底する
「感覚」や「経験」だけで議論を進めると、主観的な意見のぶつかり合いになりがちです。営業とマーケティングが共通のデータをもとに意思決定できるよう、CRMやMAツールを活用して、リードの動向や商談の進捗を可視化しましょう。
4. すぐに結果を求めず、改善プロセスを定着させる
営業とマーケティングの関係を改善するのには時間がかかります。最初から完璧を求めるのではなく、まずは小さな成功事例を作り、徐々に成果を積み重ねることを意識しましょう。
短期的なKPIと長期的なKPIをバランスよく設定し、定期的に振り返る仕組みを作ることが大切です。
5. 経営層のコミットメントを得る
営業とマーケティングの連携を強化するには、現場レベルだけでなく、経営層が明確な方針を示すことが不可欠です。経営層が「営業とマーケティングの連携を重視する」というメッセージを発信し、必要なリソース(予算、ツール、時間)を確保することで、組織全体の協力体制が生まれやすくなります。
営業とマーケティングの対立をなくし、両者が協力し合うことで、売上の最大化だけでなく、組織全体の成長につながります。
貴社の場合はどうでしょうか?
✅ 営業とマーケティングの間で、リードの質やKPIについて対立が生じていませんか?
✅ 両チームが共通の目標を持ち、協力して成果を上げる仕組みは整っていますか?
✅ CSF(重要成功要因)を一つに絞り、全員が集中して改善に取り組める環境ができていますか?
もしこれらの点で課題を感じているなら、まずは小さな取り組みから始めてみましょう。営業とマーケティングが互いに歩み寄り、データを活用しながら共通の目標に向かって進める仕組みを作ることで、組織全体の成長につながります。
今こそ、営業とマーケティングの連携を強化し、対立を乗り越える第一歩を踏み出しましょう。